あなたの番です 劇場版

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2021年 日本

監督:佐久間紀佳

原案・企画:秋元康

出演:原田知世 / 田中圭 / 西野七瀬 / 横浜流星 / 竹中直人 / 木村多江 / 生瀬勝久 / 袴田吉彦 / 片桐仁 / 奈緒 / 木下あかね / 金澤美穂 / 徳井優 / 峯村リエ / 田中要次 / 田中哲司 / 野間口徹 / 和田聰宏 / 前原滉 / 浅香航大 / 皆川猿時 / 門脇麦

 

2019年に放送されたテレビドラマ「あなたの番です」の映画版。

「あなたの番です」というドラマは、推理ものミステリードラマです。マンションのなかで連続殺人事件が起こるという話で、全20話(2クール)で完結しているドラマです。

マンションの住民会で「交換殺人ゲーム」という、殺したいと思う人の名前を匿名で紙に書いてランダムで紙を交換して、代わりに殺してもらうという話です。

当時TwitterなどのSNSで犯人を推理する考察が話題となり、物語に散りばめられたヒントやミスリードを深読みしたりして、SNS上でみんなであーでもないこーでもないとみんなで一緒に楽しんでる気分になってる感じが楽しかったんですよ。

ドラマは話題になって盛り上がったけど、黒幕の犯人は明かされたし、話も完結してしまったので、ここからどう映画にするのだろうか?もうやりようがないのではないか?というところが気になった今回の映画版ですが、

 

ーーネタバレ含みますーー

 

「もしも交換殺人ゲームが行われなかったパラレルワールドの2年後」という設定らしい。そして、今回の舞台はマンションではなく豪華客船。主人公の夫婦(原田知世田中圭)が結婚パーティを主催し仲良くなったマンションの住人を豪華客船を招いたところに殺人事件が起こってしまうという話でした。

今回の映画版、ドラマが好きだったファンは楽しめる内容だと思った。逆に言うとドラマを観てない人にはさっぱり訳がわからない内容なんじゃないかと。僕はドラマ見てますからギリギリついていけた。なんならHuluのスピンオフまで全部観てるくらいのファンなので、なんとかついていけた。この映画はあくまでもファンサービスであり、スピンオフ感が半端ない。まあ、ドラマの映画版なんてそんなもんだろうけど。

ミステリーものなので尚更ですよ。無理があるんですよそもそも。だってドラマの黒幕を知った前提での話なんですもん。「ドラマ版の黒幕が今回も怪しいと思ったでしょ??でも違いまーす!この人が黒幕って意外でしょ??」という目的のストーリーなんですもん。そんで、今回の黒幕は確かに意外だったけど、理由とか犯行に至った動機が全然納得できねえ。誰でもいいんですよ、理由なんてあとからなんとでも言えるんですよ。冷静に考えれば考えるほど無茶苦茶な話なんすよ。

でもね、更に冷静に考えると、そもそもドラマ版も無茶苦茶だったよ。ドラマ版の黒幕も最終的には子供の頃からサイコパスで衝動的に殺人を犯してしまう過去があったんです。とかいう、黒幕がサイコパスだったって一番やっちゃいけないタブーだろと。犯人が双子だったと同じくらいやっちゃいけない。

だからこの映画版、「すでに幼少の頃に人を殺した過去をもつサイコパスが一人いる」という情報があったうえで殺人事件が起こるんだけど、あきらかにサイコパスの存在がノイズすぎるんです。僕はドラマ版のサイコパスは、映画版でも同じように殺人を犯してしまう、因果の螺旋は変わらないんじゃないかと推理しながら見ていたんだけど、みごとに裏切られました。違う結末だったので「ええ!!?」って思ったけど、納得はしてません。やっぱり無茶苦茶な話だったなって思っただけでした。

ファンサービスの小ネタが何箇所か声を出して笑った。袴田吉彦をイジるネタも笑ったし、木村多江の奇行な怪演も笑った。あと一箇所メチャクチャ笑ったシーンがあったんだけどなんだったのか思い出せない。