ザ・バニシング - 消失 -
1988年 オランダ
監督:ジョルジュ・シュルイツァー
出演:ベルナール=ピエール・ドナデュー / ジーン・ベルボーツ / ヨハンナ・テア・ステーゲ
スタンリー・キューブリックが「これまで観たすべての映画の中で最も恐ろしい映画だ」と絶賛したらしい。30年の時を経て2019年に日本初公開となったらしい。
その情報だけでこの映画を見る動機は十分である。これはヤバい映画なんだと。
カップルが旅行に行こうと高速道路で移動していて、途中サービスエリアで休憩をしていたら、彼女が謎の失踪をしてしまう。なぜ、どのように、彼女は忽然と消えてしまったのだろうかという話。
序盤ハラハラしていたが、中盤ちょっと話がわからなくなり、ちょっとついていけなくなりそうになって「この映画大丈夫だろうか」と正直心配になったんだけど、ラストでヒリヒリとしたクライマックスが待っていました。見終わってジワジワと余韻に浸っている。確かにこの映画ちょっと変なんですよ。
とりあえず、彼女を誘拐した犯人はサイコパスだったんだけど(これは言って大丈夫ですよね??ネタバレじゃないですよね!?)
真実を知るためにはそっちの世界に足をつっこまないといけないらしい。真実を知るにはリスクが必要ということなのか。それにしても好奇心に対する代償がデカすぎる。正常と異常は紙一重であるのかもしれない。
いや、ちょっと待って、なんで被害者がリスク負わないといけないのさ、おかしいおかしい。サイコパスの勝手な言い分に乗せられるところだった。
そもそもどっちも不条理な2択を選択させようとしてくる人ってたまにいますよね。大体そのどっちとも極論で、サイコパス側の都合でしかないんですよ。選ばないといけない状況まで相手を追い込んでいるんです。
もちろん選ばないという選択肢もあります。強い意思で選ばなければいいだけなんです。サイコパスに関わらないのが一番です。しかし「好奇心」という欲にどうしても心が揺さぶられてしまう。どうしても知りたい。リスクがあると分かっていてもである。
そんな「好奇心」という感情の部分を弄ばれた気分になってしまった映画だった。