BECK
2010年 日本
監督:堤幸彦
出演:水嶋ヒロ / 佐藤健 / 桐谷健太 / 中村蒼 / 向井理 / 忽那汐里
原作の漫画は好きだ。全巻読んだ。
しかしこの映画はひどかった。
役者勢はなにも悪くない。いやむしろいい。以外とみんな原作のキャラクターに雰囲気が似ていて違和感がない。役者勢はみんな頑張っていた。
なにが悪かったかって、「コユキの歌が聞こえない問題」これに尽きる。あの演出はなんだろう。
原作を読んでない人に「コユキの歌」を簡単に説明すると、コユキの歌を聴いたみんなが目を見開いて固まるくらいの凄い歌声で、バンドが奇跡を起こすという設定なのである。原作の漫画では。
漫画なら音が聞こえないから、読者の想像でカバーできる。しかし映像になってしまうと音を出さないといけない。この設定自体が相当ハードルが上がりきっているため、それ相当の歌声を用意しないといけないという問題があった。
そこでこの映画がやったことは、コユキが歌ってる間、声は無音にして雰囲気で誤魔化すという。つまり逃げたのだ。
まあそういう表現もある。「え?いまのなに?幻?夢?」みたいな錯覚にさせてくれればいいのだけど、それはここぞとという1回のみ許される諸刃の剣だと思う。
しかし、その演出が6回もでてくるのだ。6回である。呆れた。
もう後半のクライマックスに至っては、フルコーラスでボーカルが無音なのだ。インストバンドかよという。マイク壊れてんじゃねえのか状態。興冷め。
こんなことならまだ誰かに歌わせたほうが100万倍マシだ。いい声のボーカルなんて日本にだっていくらでもいる。目をそらさずに日本の音楽をもっと信頼してほしい。
クライマックスのインスト状態がダラダラ流れたあとに、エンドロールでオアシスが流れたときの台無し感も半端なかった。
日本のバンドを題材にした日本の音楽映画なのに、オアシスの歌に頼ってる気分になって後ろめたさを感じた。日本のバンドがサクセスするストーリーなんだから、エンドロールくらい劇中のオリジナル曲で締めるべき。