歩いても歩いても

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2008年 日本

監督・脚本・原作:是枝裕和

出演:阿部寛 / 夏川結衣 / YOU / 高橋和也 / 田中祥平 / 樹木希林 / 原田芳雄

 

年に一度くらい、お盆とか正月にたまに実家に帰省すると、妙に家族のテンションが高くて、料理とかいっぱい用意してもてなしてくれるんだけど、特にやることもなくて手持ち無沙汰だし、実家って自分の物が無いですから、自分の家の筈なんだけど他人の家みたい、なんだけど自分の家という不思議な空間なんですよね。いや、自分の家じゃなくてお父さんの家なのか。そんな不思議な空間で所在無く、今更両親と喋ることもそんなになくて会話も続かない。話に花が咲くのって最初の1時間くらいなんすよね。お互い気を使いあっているんでしょうね。

でも、帰るたび、なんだかんだ帰省して良かった、両親に顔見せて喜んでもらえて良かった。もっと親孝行しないとなって、いつも思っているんです。本当は。でも、あんまり長い時間一緒にいると鬱陶しく思ってしまう。本当はもっと親孝行したいと思っているのに。

 

そんな家族という人間関係の絶妙な距離感をめちゃめちゃ細かく繊細に描いた映画。

よくもまあこんなにリアルに描いたもんだ。リアルすぎて震えた。こんなリアルな家族ドラマ、他にあるだろうか。実家の柱の木の匂いまで伝わってくる。この空気感すごい。

 

僕は終始、阿部寛の目線でめちゃくちゃ感情移入してしまった。姉役のYOUの存在が絶妙。僕にも姉がいますが、ウチの姉もまさにこんな感じですし、父役の原田芳雄の「本当はみんなと話したいのについつい無愛想に振る舞ってしまう感じ」も、うちの父を見ているかのようでした。そして樹木希林が本当にお母さんにしか見えない。いや樹木希林はもともと日本のみんなのお母さんだし、俺のお母さんだと勝手思っていたので、完全にうちのお母さんそのものでした。まるでうちの家族を見ているかのような錯覚になった。本当に実家に帰省した気分を疑似体験させられる映画。

 

改めて、家族って不思議な関係だなって思ったし、

もっともっと親孝行しないといけないなって強く思いました。