ミッドサマー

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2019年 アメリカ 

監督:アリ・アスター

出演:フローレンス・ピュー /  ジャック・レイナー / ウィリアム・ジャクソン・ハーパー /  ヴィルヘルム・ブロングレン / ウィル・ポールター

 

やっと見ましたミッドサマー。

すごく話題になっていて気になっていたんですけど、内容が過激すぎるとの反響に正直ビビってました。「グロい」「トラウマ」「見ない人生が良かった」などの声が多数。僕はグロへの耐性が低いため警戒してしまう。ホラーは平気だけどグロは苦手。その辺の線引きが自分でも曖昧だが、痛いのがダメなんです。特に拷問されているのを見るのが苦手。絶対にグロいのが保証されている地雷原に裸足で突っ込んで行く覚悟がなかなか決められなかった。

という謎のハードルが上がりきっていた。さぞかし胸糞悪いんでしょうね!?どんなトラウマを植えつけてくれるんだい??

まあ、結論から言うと、そこまでの内容ではなかった。

 

確かに人間が残酷に死んだり、猟奇的な描写が多々あったのだけど。意外と平気だったので安心した。(何の安心なのか自分でもわかんない)死体とかが作り物の人形っぽく見えたから平気だったのかも。

とりあえず、これはホラーではないですよね。ファンタジーでした。童話みたいな。竜宮城のような楽園に行ったかと思えば、気づいたら酷い目にあったみたいな。昔話に近い。例えば日本昔話で悪い爺さんがタヌキに騙されて懲らしめられたってお話を見てもなんか他人事なんすよ。この映画は登場人物に誰にも共感できないから、どんなに酷い目にあわされてもあんまハラハラしないんです。登場人物がみんなクズなので、酷い目にあわされても「まあ仕方ねえか!」って思っちゃう。「危ない!!逃げてえええ、志村後ろ!後ろ!」というスリルが皆無なんですよ。まあ今回はそういうホラー映画ではないので、そんなスリルを味わう必要はないのかもしれませんが。

とはいえ、生理的嫌悪感はたくさんありましたよ。一番キツかったのは謎のSEXの儀式のシーンね。あれはまじで拷問ですよ。レイプみたいなもんです。シュールすぎて笑いそうになったけど。あのシチュエーションの時点でコントみたいなんだけど、一人女が近づいてきて手を握りながらめっちゃ顔を近づけてめっちゃいい声で歌い出した時が一番笑った。あの絶妙な間とタイミングで歌い出したのは完全に笑かしにきている。一体何を見させられているんだ。どんな感情になればいいのか。別の意味で精神がやられそうになり、僕の思考はどんどん停止していった。

あと、最後の熊の着ぐるみのシーンね。あの熊の着ぐるみがちょっと可愛いんすよ。ちょっと可愛くて哀愁がありすぎるから、やっぱあのクライマックスもコントにしか見えなかった。狂気と笑いって紙一重だなって思います。

きっと、もっと精神的に追い詰められるトラウマを勝手に期待していたのだと思う。そういうハードルが上がりきっていた。その肝心の精神的な駆け引きが、ほとんどの場面で登場人物がドラックをキメているので、「ああ、彼らはラリっているから冷静な判断ができないのか」という、ある種ドラックが逃げの材料になってしまっている部分が大きかった。本当に怖いのは人間であり、ナチュラルに「あ、こいつ頭おかしい。話通じねえ。」っていう人間に恐怖する場面が少なかったのが物足りなかった。単にみんなクスリでキマッていてアッパーになってるのを傍観しているだけで、見ている我々はそこまで恐怖を感じていなかった気がした。飲み会でみんな泥酔して出来上がっている集団の中に一人だけシラフでいるような居心地の悪さ。で、ちょっとみんな行動がエスカレートして引いてる。みたいな。

 

しかし、全体的に映像が美しく、お洒落で、アート映画としてとても美しい映画だった。

お話も色々言ったけど、としてもよくできていて、面白かったです。

二度と見ないけどな!