her 世界でひとつの彼女
2013年公開のアメリカ映画。
監督:スパイク・ジョーンズ
主演:ホアキン・フェニックス
人工知能のコンピューターのOSに恋をする男の話。iPhoneでいうSiriみたいなやつ。Siriと会話してるうちに好きになっちゃったっていう話。
いまのSiriよりもっと進化するとこんな時代がくるかもしれないという近未来のSF。
世界観も、ちょっと未来のLAの街並みで、デザインとかインテリアがいちいちお洒落れ。アップルとかマイクロソフトの壮大なCMかのよう。
男の役が、ホアキン・フェニックス(リバー・フェニックスの弟)なんだけど、すげえダメ男。見ていてイライラするくらいダメ男で、女に失望の顔をされるというシーンが何回かあるんだけど、その失望の顔がすごくリアルで、
ああ…まるで自分を見ているようだ…黒歴史をほじくるのはやめろ…!と、胸の奥が痛く苦しくなった。
最近離婚した元妻に「いまOSが恋人で、つき合ってるんだ。」と言ったときの、元妻のあのドン引きした顔が最も辛く突き刺さった。
しかも、その元妻の役がルーニー・マーラーで、ルーニー・マーラーが可愛いすぎてますます心が辛い。苦しい。
お前バカか!ルーニー・マーラーと別れるなんてありえないだろ!もっと必死になってより戻せよ!!
そんな彼に、コンピューターのOSは優しい。自分のことを誰よりも理解してくれている。だって、そうやってプログラムされているから。そうやってOSにどんどんハマっていくという。
しかし、そんなOSにも意思があり葛藤もある。人間と上手くいかない奴が、コンピューターと上手くいくとは限らない。そのコンピューターが人間に近ければ近いほど、疑似恋愛ではなくリアルな恋愛に発展していくのである。
僕は、リアルな人間よりもコンピューターとつき合うほうが辛いんじゃないかと思ってしまった。OSは自分のことをなんでも理解していて完璧な彼女だが、その反面、すべてを見透かされているんじゃないかという恐怖心を感じてしまった。
人間は欠点や弱さがあるからこそ恋愛をして助け合うのかもしれない。その欠点も魅力なのである。
監督のスパイク・ジョーンズは過去になにか辛い恋愛でもしたのだろうか。
あと、音楽がArcade Fireで、サントラが素晴らしかった。