ゴッドファーザー

ゴッドファーザーの3部作を観たんです。DVDで。

すごく今更かもしれないですけど、観たことがなかったもので。

正確に言うとパート2までは観たんですよ10年以上前に。

しかし、当時20歳そこそこの僕には正直難しい内容で、恥ずかしながらほとんど内容もあまり覚えておらず曖昧で、ただ「かっこいい」とか「渋い」とかいう見た目の印象しか残っていなかったのですよ。

もっと言うと、「ロバート・デニーロとアルパチーノってどっちがどっちだっけ?」というくらい記憶障害ぶりだったし、更にはパート1のドン・ヴィトー・コルレオーネ役のマーロン・ブランドロバート・デニーロと勘違いしてしまうくらいのニワカぶりでした。ゴッドファーザーを愛するファンに罵倒されるどころか、「俺、映画好きなんで結構観ますよ。」なんて恥ずかしくてもう言えない。

だってロバート・デニーロとアルパチーノの顔と名前が一致しないなんて、ロックでいうなら「ジョン・レノンミック・ジャガーってどっちがどっちだっけ?」って言うくらい恥ずかしいことかもしれない、胸をはって映画を好きと言えるようにとにかくゴッドファーザーを今すぐ観なくては。

 

で、観ました。ゴッドファーザー、パート1から3まで。

正直な感想は、やっぱり話が難しい、ストーリーの理解度は60%くらいしか理解していないかもしれない、それでも以前は10%未満だったわけだからかなり理解したほうだと思う、しかし如何せん登場人物が把握できなかった。「あれ…この爺さん誰だっけ…?」「この男は敵…だよな…?」「えーと、トムがあいつで…ジョンって誰だっけ」「あれ、いま殺された人は誰?」と、人物が完全に把握できなかった。新しい登場人物が増えるたびに混乱していた。

ほら、イタリア人の紳士って見た目が同じように見えるじゃない、ハットかぶってるし…。

そして政治がからんだ話になるとついていくのがやっとだった。ローマ法王の存在くらいはなんとなく分かる。しかし日本の政治すらよく分かってない僕にとって、異国のイタリアの政治に対する価値観やら文化や宗教が理解していないせいなのか難しい話に感じた。イタリアとアメリカの関係とか移民の問題とか…。

単にマフィアの抗争の話だけじゃない、ただ特定の敵を倒すだけの単純な話じゃない、もっともっと人間関係が深く関わった、例えば家族愛やイタリア人としての誇りを描いた壮大な話だということはよく分かった。もっともっとその時代のイタリアの歴史や文化を知った上で映画を100%理解したいと思ったし、そのために今後また何度も見直したい映画だと思った。この映画がこんなに愛されて、長く語られる名作と言われる理由が分かった気がした。

 

そんななかで特に心に残ったのは、マイケル・コルレオーネです。

彼はとにかく可哀想なんです。あまりネタバレを書くのは野暮だと思うけれど、とにかくマイケルが孤独すぎて可哀想なんです。

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僕は終始マイケル目線で、マイケルに感情移入していたんですけど、

マイケルはあまりマフィアにはむいていなかったのかもしれない。もともとマフィアになるつもりはなかったようだし、でも家族を守る為に戦う運命に立ってドンにまでなって頑張った、しかしマイケル終盤完全に心が折れてた。すげえマフィア辞めたがってたし、でも家族は愛してる、だから自分が頑張らなくてはいけない、でも自分がマフィアとして頑張れば頑張るほど嫁の心も離れていくし、娘や息子にも邪見にあつかわれる。それでなくても仲間だと心から信頼できる人も少ない。いつ誰が裏切って命を狙ってくるかわからない。自分の命だけならまだしも、愛する人の命を奪われることを最も恐れていたマイケル。家族を思えば思うほどピリピリし孤独になっていく悪循環。結局最後は一人淋しく庭で老衰して生涯を終えるという、マイケルが可哀想すぎて泣きそうになった。

そして、マイケルの父であるヴィトー・コルレオーネが偉大すぎた。マイケルと対比すると、お父さんはいつも家族から愛され、人がいつも周りにいて信頼されていた気がする。死に際も孫と庭で戯れながら倒れ幸せそうだった。

二人とも庭で死ぬという似たシチュエーションなんだけど対比するとマイケルの孤独さが際立って泣ける。

この映画はマフィアの抗争を描いたギャング映画だけど、僕は「家族愛」を強く感じた。マイケルも、先代のヴィトー・コルレオーネも、なによりも家族を大事にしていた気持ちが最も心に残った映画でした。