私をくいとめて

f:id:inu_suke:20210328025632j:plain

2020年 日本

監督:大九明子

出演:のん / 林遣都 / 臼田あさ美 / 若林拓也 / 前野朋哉 / 山田真歩 / 中村倫也 / 片桐はいり / 橋本愛

 

32歳独身のOLみつ子が年下の営業マンの多田くんに恋をするが、なかなか一歩踏みだせないでいる女の子の葛藤を描いた映画。

 

だって、一人のほうが楽なんだもん。他人に干渉されるなんて面倒だし。休日はひとりで好きなことして遊んでいるし。一人で気ままに生きるほうが気楽じゃん?寂しくなんかないもん。

いや、本当は寂しいんです。人は独りでなんか生きられないんです。でも他人との距離感が分かんないんです。独りの時間が長すぎると他人とどう接していいのか忘れてしまうんです。

「他人と一緒にいるには努力が必要だからね」と言っていた臼田あさ美の台詞が胸に刺さった。そうですね、僕の場合独りでいるときに努力なんかしていません。ろくに努力もせずに人気者になりたいとか思っていた僕を一発ぶん殴ってほしい。

 

主人公のみつ子は、一人の時間を持て余しすぎて、妄想のなかで「A」というもう一人の自分に話しかけるという病いを患っているんです。

いつでもAは自分の味方で、どんな悩みもAに相談する。休日に一人で買い物とかお出かけしてもAがいるから寂しくない。傍目から見るとずっと独り言を喋っているヤバい女なんだけど、いや分かるよ、すごく分かる。非リア充が抱える闇の部分に共感して胸が苦しくなった。

 

この映画は非リア充リア充になるための成長を描いたヒューマンドラマだった。

人は恋愛を乗り越えることで成長するらしい。恋愛というキッカケで他人と向き合うことができるということなんだろうきっと。恋が実りもう孤独じゃなくなったので、妄想でつくりあげた架空の相談相手のAともお別れをするんです。Aとのお別れが切なすぎた。みつ子はまた一歩大人になったということなんです。

しかし、みつ子は本当に多田くんでいいのか? みつ子が可愛すぎて多田くんみたいな薄っぺらい男には勿体ない。納得がいかないっすよ。みつ子にはもっといい男がいるだろ。あ、これはただ単に俺が多田くんに嫉妬しているだけなんだ。みつ子が可愛すぎて嫉妬していた。多田みたいな薄っぺらい男は現実社会にはいくらでもいるので、リアルに想像するとなんか知らんけどすごくモヤモヤとした気持ちになった。現実とファンタジーの狭間で胸が張り裂けそう。

 

そうか、分かった…分かったぞ!全ての宇宙の真理を。なぜ俺がこんなにもモヤモヤした気持ちになっているのかがいまハッキリと分かった。

リア充の可愛い女の子(俺たちの世界にいると思っていた可愛い女の子)が、リア充の世界(どこか知らない遥か彼方の世界)に行ってしまったからなんだ。だからAとのお別れが悲しくて切なかった。え?Aは俺だったってこと??

そして、みつ子役ののんが規格外に可愛すぎた。のんの可愛さがドラマを破綻してしまっているくらい。のんの可愛さが更に俺の心を深くえぐった。なんて残酷なドラマなんだろうこれは。