ヘレディタリー / 継承

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2018年 アメリ

監督・脚本:アリ・アスター

出演:トニ・コレット / アレックス・ウルフ / ミリー・シャピロ / アン・ダウド / ガブリエル・バーン

 

ちょっとよくわかんなかったすね。

 

なんかこの映画、「現代ホラーの頂点」とか煽られてますけど、話が散らかっていて、恐怖への感情移入をどこにもっていけばいいのか後半よくわかんなくなっちゃいまして。いや、怖かったですよ。確かに怖かった。まあ、怖かったというか気持ち悪かった。胸糞悪かった。ただそれだけ。胸糞悪いだけ。ストーリーが雑なので、ただ胸糞悪いってのが残るだけでした。え?それって気持ち悪い映画ってことじゃん??え?

 

ちょっとツッコミどころが多かったというか、強引だなって思う部分が多かった。そもそも黒魔術とかオカルトとかが出てきちゃったらもう何でもありじゃんって冷めてしまった。オカルトだからなんでもありだと思ってしまったらもう終わり。

ジワジワと不穏な恐怖をジワジワと胸糞悪くジックリと不快な気分にさせられたあげく、最後の最後にドサー!! っとテーブルをひっくり返された気分。

『はい!これオカルトだから不条理なの! カルト教団って得体が知れない怖さがあるよね! そこ察してね! そのへん特に理由とかないから! 全部呪いだから呪い! 黒魔術の力ってやつ! 当然、超常現象も起きるっしょ! なんか人が天井に張りついたり超不思議なことおこるよね! 霊的なやつ? だってオカルトだもん!』

母親が天井の隅に張り付いていたときは、アルソックのCMの吉田沙保里にしか見えなくて笑ったよ。恐怖と笑いは紙一重である。緊張とは張り詰めすぎると笑いになりうる。「絶対に笑ってはいけないホラー」なのかもしれない。もう笑ってしまった時点で終わり。

母親がノイローゼになって精神がどんどんおかしくなっていくんだけど、夜中父親と息子を叩き起こして死んだ娘の霊を降臨させる儀式をやるんだというテンションと空気感とかも一歩間違えればコントだったよ。父親が絶妙な間とタイミングで「一体どうしたんだ」とツッコんでいてハッとしたよ。主人公だと思っていた母親はずっとボケていたのかと。常人には理解できないシュールすぎるボケだったんだと。娘の事故現場を相当リアルなミニチュア模型を作って再現しているのもボケだったってことです。高度すぎて笑えないけど。唯一の常人である父親が燃えたとき「お前が燃えるんかい!」と絶望しました。

母親が主人公だと思っていたけど、どうりでコイツに感情移入ができないわけである。全然母親の気持ちが分からん。主人公じゃなかったのか!というかそもそも主人公とかいう概念ってあるのか?

それに気がついたときにはもう話は終盤で、感情の矛先を見失っているうちに、クライマックスでドーンと派手にオカルトになって終わった。改めて自分はオカルトが苦手なんだなって思った。苦手というか、信用していないんだなって。オカルトは逃げだよ。

そういえば、この映画の監督は「ミッドサマー」という映画の監督らしい。ミッドサマー のときも恐怖がシュールすぎて笑いになってしまうツッコミ要素がたくさんあったことを思い出した。この監督独特のブラックユーモアなのだろうか。それにしてもミッドサマー同様、僕はこの監督の作品とは趣味が合わないんだと思った。本当にすいませんでした。