透明人間

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2020年 アメリ

監督 / 脚本:リー・ワネル

出演:エリザベス・モス / オルディス・ホッジ / ストーム・リード / ハリエット・ダイアー / マイケル・ドーマン / オリヴァー・ジャクソン=コーエン

 

めちゃくちゃ面白かった。

前情報を全くなにも知らずに見れて本当に良かった。監督は、SAWシリーズの脚本家のリー・ワネル。「SAWを書いた人なら面白いだろう」という情報だけで見たんだけど、それが正解だった。

 

主人公のセシリアという女性は、透明人間からのストーキングに悩んでいて、執拗に嫌がらせをされているんです。「元彼が透明人間でずっと近くにいるの!」とか言ってノイローゼみたいになっているんです。彼女の妹や友達も、彼女をサポートするけど、日に日にその被害はエスカレートしていくんです。しかし、周囲の人には透明人間の存在が認知できていないために彼女の言うことをちょっと疑っていて、次第に周囲の人にまで被害が及んでしまい、セシリアはどんどん孤立してしまい、最悪の事態になってゆくという。

正直僕もセシリアの言うことを疑ってしまった。実は全部彼女の被害妄想で狂言を言っているのかもしれない。透明人間など存在していなくて、すべて彼女がやったことなのかもしれない。そういうどんでん返しのオチなのかも。とか、観客側の僕まで疑心暗鬼になってしまった。セシリアをずっと疑って見てしまった。実際に透明人間が可視化してもなお「いや、これはセシリアの幻覚かも…」と、最後まで疑ってしまった。いや、セシリアがノイローゼになって暴れている姿が、こんな犯罪者いるかもって思わせる迫真の演技だったもんで。

終始主人公のセシリア視点なので、どんどん追い込まれてしまい、気がついたらもう最悪の事態になっており、「あ、これもうダメだ」と絶望した。絶望を擬似体験した気分になって絶望したんです。もう透明人間の要求をのんだ方が楽になるかも…、もう諦めよう…。ってマジで思ってしまった。あれ、自分はこんなに簡単に洗脳されるタイプの人間だっけ。

最後までハラハラと展開が読めなかった。透明人間の見せ方が絶妙だった。もしかしたら透明人間なんていないんじゃないかと疑うほど透明人間の存在の消し方が絶妙。「目に見えない演出」と「目に見える主人公の演技」が見事だった。