架空OL日記

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監督:住田崇

脚本・原作:バカリズム

バカリズム / 夏帆 / 臼田あさ美 / 佐藤玲 / 山田真歩 / 三浦透子 / シム・ウンギョン / 石橋菜津美 / 志田未来 / 坂井真紀

 

バカリズムがOLになりきって架空の日常の日記をブログで書いていた「架空升野日記」が原作で、それが書籍化やドラマ化されたのが「架空OL日記」。今作はその映画版ということです。

この作品は、本当にOLの日常を擬似体験できるくらいとにかくリアル。僕は男だしOLじゃないけど「わかる。わかるぞ」と感情移入してしまう。このリアルさって普通じゃない。いや普通ドラマってなにかしら演出して多少なりとも ”盛る” じゃないですか。しかしこのドラマは ”なにも起こらない” んです。たしかに日常なんてそんなドラマチックなことなんてそうそう起こらない。「今日は会社のファンヒーターが調子悪かった」くらいでも十分な出来事なんですよね。

そのリアルな描写がとにかく細かい。なんでバカリズムはこんなにOLの気持ちが分かってんだろうって不思議である。そしてバカリズムがOLたちと自然に溶け込みすぎている。とにかく演技が自然すぎる。どこまでがアドリブなのかわかんないくらい出演者の演技が超ナチュラル。

いままで見ていた普通のドラマの演出が過剰だったのかと感じてしまうくらい。こんなにリアルなものって他にあっただろうか。

それを言いだすと、このドラマだって「同僚の仲が良すぎる。仲悪い人が居ないのは不自然」という都合があるなって思った。いや、そのへんも実は絶妙で、「表面的には仲良さそうだけど、実は内心どう思ってるかわかんない」という絶妙な人間関係だったりする。その繊細な人間関係って毎日過ごす職場は平穏に過ごしたいという距離感なのかもしれない。そこの描写もちゃんとリアルなのである。しかし、その人間関係はドラマ版のほうが詳細で、今作の映画版は正直物足りなかった。尺の問題かもしれない。もっとこの人間観察をしていたい。この作品は永久に見ていられる。

この映画が終わるとき、終わってほしくなくて淋しくなってしまった。なんだろうこの気持ち。もっと続けてほしい。サザエさんみたいに。