JOKER

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2019年 アメリ

監督:トッド・フィリップス

出演:ホアキン・フェニックスロバート・デ・ニーロ

 

バットマンの悪役ジョーカーが、如何にしてジョーカーになるまでを描いた映画。

舞台はまだバットマンも誕生していないゴッサムシティ。

 

僕は、バットマンよりもジョーカーが好きです。それも、特にダークナイトのジョーカーが好きなんです。歴代のジョーカーのなかでヒース・レジャーが演じたダークナイトのジョーカーが至高である。それを超えるジョーカーはいないんじゃないかと。

そう思っていたし、比べるものじゃないなと。比べるなんて野暮だと思っていた。今回はその辺の先入観は一切とっぱらって、なるべくフラットな気持ちで映画を楽しもうと思ったんですよ。だからなるべく前情報を一切排除して映画を見ました。トレーラーはつい見ちゃったけど…。

 

なんですけど、

先に言っちゃうと、今回のジョーカー。

ジョーカーを更新した。

いや、超えたとかそういう意味ではなくて、ダークナイトのジョーカーと肩を並べたというか。より切なさと深みが増した。

 

主人公は感情が高ぶると笑いが止まらなくなる病気をかかえていて、喘息のように笑いが止まらなくなってしまう精神病なんですよ。それが本当に辛そうに笑っているんです。咳が止まらなくて辛いみたいな。見ていて本当に辛くなってくる。それが障害となって人とのコミニュケーションも上手くいかない。気持ち悪がられる。可哀想。彼は知的障害とかでは無いようなんだけど、チック症みたいな感じなんですかね。そういう病気なんです。

その笑い方が、後半になるにつれて次第にジョーカー独特の不敵な笑い方に変化していくんですよ。その過程がとても見事というか。いままで過去にそういったサイコな悪役がケラケラ笑う笑い方の意味を見出してしまった。そこが今回の最大の発明だと思った。

いままでサイコな悪役がステレオタイプなわざとらしい笑い方をする度に興醒めしていたんだけど、あの笑い方の演技は凄い。こんな風に言うとなんかあれだけど「斬新な演技だ!」って思った。

余談だが、僕は常々他人の笑い声が気になる。笑い声ってその人のアイデンティティーに大きく関わる気がしている。わざとらしく大笑いして善人をアピールしている人があまりにも多い。私はあなたの味方だよというサインのつもりなのか。辛い社会を生き延びる処世術なんだろう。だけど不快な笑い方をする人とは友達にはなれない。もうお前らの愛想笑いにはうんざりなんだ。その下品な高笑いを今すぐやめろ。お前ら本当にちゃんと面白いと思って笑っているのか?

 

あ、ちょっと話がそれた。つい愚痴をぶちまけてしまった。

 

しかし主人公が抱えている問題とそう遠くはない。いや同じだ。彼は嫌なことがあると笑いが発作的に出てしまう。まるで辛いことを笑うことで反射的にフタをしているかのように。いや、意図的ではないところが本当に辛い。もしかしたら彼は心から笑ったことが無いのかもしれない。感情の一番大事な「喜」の部分が完全に欠落してしまっている。

 

現実の社会にもいくらでもいるよ、笑い方がおかしい人なんて。誰がジョーカーになってもおかしくないよね。っていうメッセージなんだろうか。

 

自分はちゃんと正しく笑えてますか?僕のジョークはちゃんと通じてるよね?人と違うなんてことはないよね?

 

この映画は、映画史に残る名作であろう。またカッコいい映画リストが増えてしまった。