2014年 日本
監督:山下敦弘
乃木坂46の秋元真夏、生田絵梨花、橋本奈々未の3人が主演の映画なんだけど、単なるアイドル映画ではなかった、というか普通の映画じゃなかった。
僕は幸いにも乃木坂も山下敦弘監督もどっちもファンなので、まさに俺得な映画だったんだけど、たぶん乃木坂ファンはこの映画まじで意味不明だったんじゃないだろうか。
いわゆるフェイクドキュメンタリーなんだけど、どこまでがフェイクなのかの境目がわからない作りになっていた。映画を製作しているメイキングと本編が混ざっているような内容なんだけど、そのメイキングもフェイクという。むしろそのフェイクのメイキング部分に色々なメッセージが込められていたように感じた。
アイドルである3人をとことん追い込み、その内面を引き出そうとしている映画だった。
大抵アイドルを起用した映画って、たいがいヌルい青春恋愛ものになりがちだけど(偏見)。なんかそういう風潮に風穴を開けようとしている映画なのかもしれない。
例えば、「アイドルってキスシーンとかご法度だよね。」とか。「アイドルだけど女優に挑戦して偉いよね。」とか。「彼女たちは頑張っているんだよ。成長の過程を見ろよ!」とか。今まで僕らがアイドル映画に対してなんとなく気を使っていた、モヤモヤしていた気持ちを、あえてネタにして言っちゃう映画。
もしかしたら、その先の内面や本音の部分を探っていた映画だったのかもしれない。
彼女たちの本心や本音が、そこかしこに見え隠れしていたんだけど、それがどこまでがフェイクなのかは分からない。そこも演技だったのかもしれない。全部がフェイクだったのなら、彼女たちは女優だったってことですよね。
そんな嘘と本当が重なり合ってコラージュされたような映画だった。山下監督の演出に脱帽した。
山下敦弘監督のフェイクドキュメンタリーといえば「山田孝之の東京都北区赤羽」とか「山田孝之のカンヌ映画祭」も最高だし、「リンダリンダリンダ」や「苦役列車」のような日常のリアルな空気感の映画も素晴らしいなって思ってます。