2001年宇宙の旅
1968年 アメリカ
出演： キア・デュリア / ゲイリー・ロックウッド / ウィリアム・シルベスター / ダグラス・レイン
2001年宇宙の旅が、2週間限定でIMAXで劇場公開するというので見に行った。
あの名作が映画館の大スクリーンで、しかもIMAXの環境で観れるなんて嬉しかった。
僕は2001年宇宙の旅は10代の頃、VHSのレンタルビデオで見たことがあった。20年くらい前なので正直ほとんど覚えていない。なので新鮮な気持ちで観れるだろうと思っていた。この映画は、ファンが多い名作だと言われているのは分かっている。しかし、そこまで言うほどの魅力がいまいちピンときていなかった。そもそもあんまり内容を覚えていないし。最後の結末がとにかく意味不明だったということだけは覚えている。
そんなコンディションで見た訳なんすけど。
感想を言う前にひとつ言っておくと。
ごめんなさい。僕、たぶん、完全に初見だった。20年前、僕は本当に見たんだろうかっていうくらい初めて見るシーンがほとんどだった。当時、僕はほとんど寝てたんでしょうね、きっと。ラストシーンは見たことがあったので、見てることは事実なんでしょうけど。いや、そんな記憶なら見てなかったでいいです。
だから、今日は完全にこの映画を初見で見たということです。この2018年という時代に、新作の超大作を見た気分だったんだけどさ、
この映画まじでヤバイわ。キュブリック先輩はんぱねえ。
ちょっとまって、2001年宇宙の旅を今更新鮮な高いテンションで「この映画マジヤバイ」とか言ってんのって、「ティラミスっていうデザート美味すぎてビビった。まじやべえ」って言ってんのと匹敵するかも。「僕、映画好きなんで結構見ますよ」とか恥ずかしくてもう言えない。
なんか、今日の劇場は満席だったんだけど、この映画が好きなコアなファンが集まってる雰囲気で、みなさん静かに行儀良く見ていた。エンドロールが終わっても余韻に浸ってなかなか席を立たない人がいっぱいいた。ただ、君達はこの映画が好きで何回も見ているんだろうけど、僕は今回初見だからね！たぶんこの空間で一番感動してるのきっと僕だから！誰よりも感動してたから！そりゃあ初見だったからさあ。しかも IMAXという環境で初見ってすごくね。
とにかく、この映画が1968年に公開されたことに改めて驚いた。CGも無い時代にどうやって作ったんだよ！人類がまだ月にも行ってない時代に！宇宙船の中で人が無重力で壁や天井を回転するように歩く描写とか、どうやって撮影したんだ？？
あと、絵がいちいちスタイリッシュでカッコイイ。めっちゃお洒落。1968年って他にどんな映画があったんだっけ、スタイリッシュすぎてさぞかし浮いていたんだろう。当時の反応ってどんな感じだったんすかね。
あと、音楽が素晴らしい。緊迫したときとか物凄く不穏なストリングスの不協和音みたいなノイズ音楽がカッコよかった。シガーロスみたい。ポストロックとかのシューゲイザーのルーツってたぶんこれなのかもなって思った。
宇宙空間のシーンは、最初は優雅なクラシックなんだけど、後半になるにつれて緊迫したシーンは無音なんすよね。宇宙って空気が無いから音が無い世界だったね、そういえば。そこで宇宙の怖さを実感した。宇宙ヤバイ。まじ怖い。
そして後半の宇宙空間が幻想的になるトリップアートがヤバすぎる。サイケデリックってこういうことをいうんですね。あの後半の時空が歪んでワープするサイケなシーンって、宇宙がこんな世界なんだろうって想像して作ったとして、なんであの時代であそこまで想像できたのかが不思議でたまらない。
その後半にかけて、ラストの謎の白い部屋で、大体みんな「意味不明」と困惑して、この映画は難解だと、みんな深読みして「あれは壮大な意味があってえ」と、勝手に解釈が一人歩きしているような印象があって、この映画に信者が多いのはそれが理由の一つでもある気がするんだけど。エヴァンゲリオンもさ、後半訳わかんなくて信者が勝手に神話と結びつけてるみたいな。
いや、もしかして意味なんか無かったりして。ただあの白い部屋にスペース・ポッドを置きたかっただけなんじゃないかと。シュールな絵が撮りたかっただけなんじゃないかと。そして、あの部屋に宇宙服を着た人を立たせたかった。だってすげえシュールで面白い絵じゃん？そして、モノリスも置きたかった。あのロココ調の部屋にモノリスが立ってる絵は確かにめっちゃシュールだ。置きたかっただけなんだよきっと。だってすげえいい絵面なんだもん。あの絵を撮りたかったんだよ。そんな深い意味なんてねえよ。
いや、あの白い部屋のラストシーンはすげえよ。なんであの発想になるんだよ。頭おかしすぎるよ。「意味なんて無いよ」って言ってくれないと納得できないっすよ。グウの音もでねえっすよ。キューブリック先輩。
