アイアムアヒーロー

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原作:花沢健吾

監督:佐藤信

キャスト:大泉洋有村架純長澤まさみ

  

先に言っておくと、原作の漫画は全巻読んでいて、原作の大ファンです。

 

このアイアムアヒーローの漫画が実写化されると知ったとき、キャストを見て僕は不安になった。「キャラとイメージ違うんじゃない?」

そこで僕はこんな画像を作ってしまった。僕の去年のツイートをご覧ください。

 

 

こっちのキャストのほうが合ってると思うんですけどどう思います?

特に比呂美と成海璃子が似すぎじゃないですか? 絶対花澤先生は成海璃子さんをモデルにしてると思ってたんだけど…。

 

いや、しかし、そこは後から文句を言っても仕方がない。別にキャストの俳優陣を悪く言いたい訳ではない。僕は大泉さんは大好きだし、有村架純長澤まさみも二人ともとっても可愛い。キャストが云々の話は、3人ともとても良かった。他の俳優陣もみんな素晴らしかった。

 

問題はストーリーだった。

やっぱり、漫画が原作のものを映画の90分のサイズに収めるのは無理があると思う。

ましてやまだ完結していない作品を、ひとつの映画にまとめるのは無理があった。

 

どこで区切りをつけるのか問題

映画は原作でいうショッピングモールのところまでだった。尺の長さを考えてもそこまでくらいが限界なのはわかる。ではどうやって終わらせるのか。終わるならハッピーエンドにするかバッドエンドにするかどっちかしかないけど。ハッピーエンドにするにしたってどういう風に終わんの? 

 

「世界は崩壊したが俺たちは強く生きてゆくぞ…!  END 」

 

みたいな?

そのあと「おめでとう!」ってみんなで拍手でもしとくか? それくらい結末を曖昧にして誤魔化さないと、原作はまだまだ話続いてる訳だし納得させにくい。(納得しないけど) バッドエンドならいくらでも色んな方法で終わらせられるけど。例えば英雄が死ぬとか。それこそ原作を無視する訳にもいかないだろうし…。

なんにせよ、原作の結末ですらこれからどうなるのか決まっていないものに、オチをつけるのはなかなか難しい。だったら、そこは割り切って、映画は映画として別物と考えた違う展開にするとか…。難しいですよね、どうするんだろう。

と、話のオチの部分がどういう風になっているのか、そこが最も気になって見に行ったわけだけど、最後どうなったか、言っていいですか?

 

 

 

話ぶった切って強引に終わった。

 

 

 

もう、エンドロール流れた瞬間、映画館で「えええーー!!」って声を出しそうになったのを必死でこらえたよ。「そこで終わんのーーー!!」って叫びたいのを飲み込んだよ。

結論から言うとハッピーエンドだったんだけど、英雄くんがショッピングモールのZQNを全滅させてめでたしめでたしだった。最後、大泉さんがカッコ良く立ってて、有村架純が「ヒーロー…」って小さい声で言って、画面に「アイアムアヒーロー」ってタイトルが出てきて終わった。

 

…ちょっとまってくれ。ストーリー的にはなんにも解決してないんすよ。全っっっっ然途中なんすよ。色んなものほったらかしなんすよ。いい感じのムーディーなBGM流れだしたとき「まさかこのまま終わらそうとしてるんだろうか…」と戦々恐々としました。大泉さんがカッコ良く立ってて無理やり終わった感だしてるのがシュールすぎた。

ショッピングモールを車で3人で脱出するエンディングが、ドライブしてるようにしか見えなかった。壮大なカローラのCMのようだった。

 ストーリー的には、なんにもオチが無かった。一応原作はなぞってるけど、駆け足で、薄い内容だった。

 

それと、最も致命的なのは英雄の人間性の描写があまりにも少なかった。英雄ってもっとダメで、情けなくて、クズで、面倒くさい男なんだけど、その描写がほとんど無かった。

なので、途中から大泉さんにしか見えなかった。テンションの低いときの優しい大泉さんにしか見えなかった。

終盤、絶体絶命のピンチになってZQNが襲ってきたときに大泉さんが絶望のあまり「…まじかよ。」って言うんだけど、その「…まじかよ。」が、水曜どうでしょうのときの「…まじかよ。」だった。過酷な海外ロケでその日の泊まる宿が無いときの「…まじかよ。」だった。大泉さんの緊迫したリアルな表情は、水曜どうでしょうでいっぱい見ている。ドイツの道端で野宿したときのほうがよっぽど緊迫感があった。僕が水曜どうでしょうが好きすぎるのがいけないんだと思った。

 

どうしても大泉さんが鈴木英雄に見えなかった。脚本の問題かもしれない。この漫画の核となる「切なさ」の要素がポッカリと抜けていた。てっことの関係も希薄、比呂美ちゃんは空気。小田さんは会ったばかり。誰にも感情移入できないまま終わった。

何度も言うけどやっぱ尺が足りなすぎた。仕方ない。こうするしかないのはよくわかる。しかし、あまりにも映画として内容が無かった。

僕がアイアムアヒーローが好きすぎたのも敗因だったのかもしれない。