2016年 アメリカ
監督:リドリー・スコット
出演:マッド・デイモン / ジェシカ・チャステイン
最近、マッド・デイモンは遠い異星でひどい目にあう役ばっかだ。インターステラーとか、エリジウムとか。
今回は火星に置き去りになって一人ぼっちになってしまうというお話。
このシチュエーションで僕が真っ先に思い浮かんだのがこれ ↓
僕がこの映画に求めていたのは「孤独」「切なさ」「哀愁」である。
極限の過酷な状況からどのように乗り越えるのか。人間が極限まで追い詰められた先の葛藤にヒューマンなドラマがあるんだろうと。
トム・ハンクス主演のキャストアウェイという映画があって、それは無人島に一人ぼっちで漂流するという話なんだけど。素晴らしい映画だった。懸命に生きようとするトム・ハンクスがとにかく哀愁があって切なかった。とにかくトム・ハンクスが情けないのだ。その情けなさがエモく、カタルシスに感動した。
今回は火星でのサバイバル生活だ。
火星なんて誰も行った事がないし、見た事もない世界が広がっているのだろう。この世の果てのような幻想的な風景。それを疑似体験できるのも期待した。
なんだけど、このオデッセイ。僕が勝手に期待していた内容とちょっと違った。
とにかくマッド・デイモンがカッコいいのだ。火星に一人取り残されたというのにあんまり動揺をしていない。なんならちょっと余裕がある。
慣れた手つきでライフラインを確保して、「火星で漂流したときの対処マニュアル」でもあるのかのような手さばきですんなり乗り越える。なるほどと感心するのだけど、ちょっと待ってほしい。我々人類はまだ火星に到達すらしてないし、さらに一般市民の僕は一生行けない世界なんすよ。
ということは、「ああ、この映画は近未来ファンタジーなんだな」と思ってしまったら見方が変わった。あくまで非現実のフィクションで、我々とは違う世界の話なんだと心が離れてしまい感情移入ができなかった。マッド・デイモンが人間離れしたスーパーヒーローに見えたのだ。
そして、地球側の「彼を助けるぞ!」「YES!」というノリも、みんなカッコ良すぎ。ザッツハリウッド。アメリカマンセー。
もちろん色々トラブルがあったり、順調にはいかないことを乗り越えようとする部分もあるが、ご都合主義に感じなにかが物足りない。
人間味ある情けなさが足りなかった。