ヴィジット

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監督:M・ナイト・シャマラン

 

シックス・センスの監督の最新作。

ちょっとヒリヒリしたサイコスリラーが見たい気分だったので見に行ったのだけど、サイコホラーだと思ったらコメディだったでござる。

いや、本当に。ホラー映画を見に行ったのに映画館の観客からドッと笑いが起こったんすよ。観客が声をだして笑うなんてコメディ映画ですらなかなか難しい昨今なのに。

完全に笑わせにきている。間の取り方とか。シュールってこういうことだと思う。

いい意味で裏切られた。途中からそういう趣旨かと見方を変えたら、突っ込みどころが満載の「笑ってはいけないホラー映画」というコントにしか見えなくなった。

 

もしかしたら「恐怖」と「笑い」って紙一重の感情なのかもしれない。恐怖もちょっとの間の違いでこんな風に笑いに変わるものなんだなあと。そのギリギリのサジ加減が絶妙だった。MVPはお婆ちゃん。お婆ちゃんのボケが秀逸。

怖いお婆ちゃんが大活躍……あっ、そうか、これは漫☆画太郎の世界観そのままじゃないか。そうだ、これは漫☆画太郎大先生の作品のオマージュに違いない。実写版まんゆうき 〜ばばあとあわれなげぼくたち〜 だ。

 

一応ジャンルはホラーなのでもちろんちゃんと怖い。多少ワッ!と驚かせるような「そりゃあいきなり出てきたら誰だってビックリするわい。」というただビックリさせる演出も多々あるけど、ジワジワと嫌〜な感じの怖さ、不穏で不安なサイコな怖さもちゃんとある。

 

この映画は好きな人は好きだけど、嫌いな人はとことん嫌いかも。賛否が相当別れそう。僕は面白いと思ったけど。「ある意味」という枕詞をつける必要はあるが。ネタとして語り継がれる映画になる可能性は十分かもしれない。名作とか傑作かどうかは別として。

エンドロールが終わって館内が明るくなって席を立つお客さんの、興奮気味に満足気な人と、なんだこりゃと表情が固い人とがパッキリと別れていて独特のざわつきがあった。

「久しぶりにクソみたいな胸糞悪い映画を見て帰り道モヤモヤしたいぜ!」というマゾ気質な人には自信をもって薦められるC級映画。