セッション

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アカデミー賞も3部門とったし、ゴールデングローブとかたくさん賞もらってて、著名人からも絶賛の嵐。とにかくいま話題の作品らしい。

 

音大でジャズドラムを学んでいる学生が、超スパルタな講師に不条理なほどしごかれる、どんどんエスカレートして狂気の沙汰に。っていうお話。

ブラックスワンに、フルメタルジャケットハートマン軍曹が出てきたみたいな感じ。

 

これは確かに面白かった。話題になる理由が分かった。

 

この映画は一部のジャズファンと映画ファンの間で、「こんなのジャズじゃねえ」と「素晴らしい映画」で論争になっているらしい。

これは見終わったあと誰かと語り合いたくなるタイプの映画だと思う。それくらい面白かったっていうことだと思う。

ちょっとでも気になってる人は、映画館の大きなスクリーンで見るのをおすすめします。映画館の客席がシーーーンと静まり返りヒリヒリした緊張感だったのが心地よかった。

 

しかし蓋を開けてみると、音楽映画かと思いきや、スポ根漫画だった。

いや、音楽映画の殻をかぶったカルト映画だった。

 

確かにつっこみどころはとても多かった。

血を流しながら早く叩くトレーニングをし、止血のために氷水に手を突っ込んで痛みを和らげ、血を流しながら練習を続けるシーンなど、「そんな練習、意味ないよ!」と、つっこまざるおえない。演奏家は手が命。

ロッキーが生卵を一気飲みしたり、ベストキットというカンフー映画の「ワックスかける!ワックス拭き取る!」の修行を彷彿とした。

 

しかしこんなのジャズじゃねえ。と言ってしまえばそれまでだ。つっこんだら負けなのだ。娯楽映画として最高の映画だと思う。

悪の先生を倒すため復習に燃える生徒がドラムという楽器で戦うカンフー映画なのだ。

そういう意味で少林サッカーに近いかもしれない。

 

先生が、「チャーリー・パーカーは演奏中にシンバルを投げつけられ大恥をかかされ、そこから奮起して偉大なジャズメンになったんだ。」

という話をして主人公を煽っていたので(たしか2回その話をしたと思う)

僕は、ラストシーンのステージの上で、シンバルを投げつけるのかと思った。

主人公が渾身のドラムソロを演奏しているとき先生が近づきシンバルに手をかけた瞬間。「くるぞ…投げるのか…?!」と息を飲んだのだけど、先生はシンバルのズレた位置を直した。

「直すんかい!」と僕は心の中で叫んだ。

そのシンバルのくだりが個人的なハイライトでした。

そこが先生と主人公の心がひとつになった瞬間だと思った。