主演:森山未來
主人公が救いようのないクズだった。
森山未來のクズっぷりがみごとだった。
中卒で仕事は倉庫で派遣の肉体労働。金も無い。友達も彼女もいない。住んでる部屋は家賃1万の共同トイレ風呂無し。家賃を滞納して追い出されそうなのに風俗にハマってて、その日暮らしの借金生活。
唯一の楽しみは読書。古本屋の店員の可愛い女の子(前田敦子)の気を引きたいから。ストーカーのように毎日のように店に通ってると。
とにかく森山未來が気持ち悪いんですよ。やっぱこの人いい役者だなあって改めて思った。モテキのとき以上にずば抜けて気持ち悪くてすごい。
ヒロイン役の前田敦子も「バイト先とかにいたら可愛い子」っていう絶妙なキャスティングだった。
主人公の友達役の高良健吾の「いい奴なんだけど平凡なリア充」の役も絶妙だった。
高良くんが「俺、彼女できたんだよ」って連れてきた女の子がサブカル女で、他人を見下してる感じとか、 “ワタシ普通の人とちょっと違うのアピール” してくる感じとかがリアルだった。そんな微妙な女の子に媚びてる高良くんがかつての若い自分と重なって胸が苦しくなった。
そして、そんな二人に森山未來がツバを垂らしながら説教するシーンがすごい。よくもまああのタイミングでツバが垂れたもんだと関心した。
山下敦弘監督って、役者の魅力を最大限に生かすのが上手い監督らしい。リアリティを重視してるのかもしれない。人間関係の気まずさとかの些細な空気感とかすごくリアルだった。
原作の小説は芥川賞を受賞したらしい。作者の西村賢太さんは受賞の知らせに対し「そろそろ風俗に行こうかと思ってた」と答え話題になったらしい。
そんな西村さんはこの映画を「どうしょうもなくつまらない映画」「見る価値はない」と言っていたとのことで、原作の小説がとても読みたくなった。