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FUJI ROCK FESTIVAL '14 7/27 SUN【完結編 〜死ぬほど美味かったカップラーメン〜】

FUJI ROCK フェス 音楽

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前回のつづき。

 

【出発編 〜地獄の深夜バス〜】 ←前回

前回のあらすじ:『downyを見るために深夜バスに乗りフジロックに来たが、一睡もできずに現地まで来てしまった。宿もテントも無いまま一日朝までオールナイトですごさなければならない。果たして朝まで無事に過ごすことができるのか。』

 

9:00になりいよいよ開場になった。まずはグリーンステージにむかう。

天候は曇り時々雨、涼しいが風が吹くとちょっと肌寒い。

 

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開場したての朝の9時はまだまだ人はまばらである。空いているグリーンステージはなんだか得した気分。椅子も好きな所に設置できる、朝早く来た特権である。左側の木の下が日陰になるから人気だ。

 

11:30〜

STAGE:RED MARQUEE

downy

いよいよ、downyフジロックdownyがどうしても見たかった。9年越しの夢が叶った。これを見るために今回苦労してやって来たのだ。

このバンドは2000年に結成してから2005年に活動休止。今年9年ぶりに活動再開し、それまで野外フェスとか出るようなバンドじゃなかったのだがはじめてフジロックの出演が決まり、その晴れ舞台を絶対に見ないと後悔すると思った。日本で一番好きなバンドです。

11:00頃にRED MARQUEEに行くと転換とリハをやっていた。本人達がセッティングし、サウンドチェックもリハも本人達が音を出していた。その時点で音がカッコいい。

ボーカルの青木ロビンが「じゃあやってみようか」とはじめようとすると、客が「フォーー!」と歓声をあげた。慌ててロビンが「違う違う!まだだよ!」と客に言う。

まだリハだよってことなんだろう。

すると「酩酊フリーク」のイントロが始まった。

結局リハで丸一曲演奏し、リハなのに歓声があがった。ものすごい得をした気分になった。正直このリハでやったこの曲が一番良かった。リラックスした感じでさりげなくやったのが逆に良かったのかもしれない。これからはじまるライヴが期待できる瞬間だった。

そして9年ぶりの再開とは思えない完成度だった。このバンドはやっぱりフジロックの音響で聴くのが一番だと思った。CDで聴くよりもライヴハウスで聴くよりもdownyが表現したかった音を再現してくれる環境がフジロックなのかもしれない。日高さん、来年のdownyはホワイトステージでお願いします。

 

downyを見終わって、もうこのまま帰ってもいいくらい満足してしまった。それくらいdownyのライヴが良かった。

とはいえ、まだ1つしか見ていないのに帰るなんてとんでもない。

とりあえず昼飯を買おう。

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プリンスホテルのステーキプレート1200円+ビール600円

1200円という値段に躊躇してなかなか手が出せないと評判のステーキ。気分が良かったので奮発した。グリーンステージにこれを持って行ってBEGINを見ながら食べよう。

グリーンステージに行く途中、憂歌団木村充揮さんとすれ違う。憂歌団は夕方のオレンジコートに出演の予定だ。普通にウロウロしてるんだね…。

 

12:30〜

STAGE:GREEN STAGE

BEGIN

ステーキとビールを持って、グリーンステージに向かうとBEGINのライヴはすでに始まっていた。真ん中あたりの芝生に座るとちょうど「オジー自慢のオリオンビール」という曲をやっていて、曲の途中でボーカルが「じゃあ乾杯しよう!カンパーイ」と言ってくれて。俺がいままさにビールを飲もうとしたときだったのでいいタイミングに来たもんだと嬉しかった。

MCで、憂歌団の木村さんは先輩で、昨日も遅くまで一緒に飲んでたという話をしていた。えっ、俺さっきすれ違ったよ。きっと木村さん、BEGINを見に来たんだね。

 

たまに、雨が強く降ったり止んだりしている。今日は天気が安定していないようだ。

 

13:55〜

STAGE:RED MARQUEE

OK GO

このバンドの魅力は「MVが面白い」上記のMVはルームランナーをいっぱい並べてメンバーが踊るんだけど、このMVがウケたのがキッカケで、このバンドは次々面白いMVを発表した。

 

このMVは何時間(おそらく丸一日)をかけてちょっとずつ動いてアニメーションとコマ送りとスーパースローを織り交ぜて不思議な映像を作ったという根気強い作品である。

 

これは壮大なピタゴラスイッチ、どんどんスケールが大きくなってエスカレートしていく様が壮快。

 

これは、上記のピタゴラスイッチをもっとエスカレートさせた、車を走らせてガンガンぶつけながら演奏するという、斬新な音楽。

 

これはトーストの焦げがアニメーションになっているんだけど、CGじゃなくて実際に何千枚もちゃんと焼いたらしい。

 

まだまだ面白いMVがあるんだけどキリがないのでこの辺にするけど、

デビューシングルはストレートなUKバンドっぽい感じだったんだよね。しかしこの曲のMVも途中のもっとも盛り上がる間奏部分をぶった切って、なぜか卓球のシーンを挟むという、こういうユーモアのセンスが素敵だと思う。最近ではももクロに曲を提供もしている。やっとライヴが見れて感激。ライヴも盛り上がって楽しかった。やっぱり面白いバンドだと思った。

 

16:30〜

STAGE:WHITE STAGE

Ásgeir

2012年にデビューアルバムをリリースしたばかりのアイスランド出身のシンガー・ソングライターで、まだ21歳だという。

彼のライヴが僕は個人的にこの日のベストアクトだった。

やっぱりアイスランドはとんでもねえ国だ。なぜアイスランドには毎回こんな凄いミュージシャンが生まれるのだろうか。去年のOf Monsters And Menも然り。アイスランドに外れ無し。

この若さでこの才能は、2年前に同じくホワイトステージで見たJames Blakeの衝撃を彷彿とした。早速アルバムを買いに行かなければと思った。

 

17:00〜

STAGE:ORANGE COURT

 THE King ALL STARS

途中からなんだけど、やたら盛り上がってるのに誘われて足が向いた。

このバンドは震災の復興イベントで東北でフェスをやったとき、加山雄三を中心にミュージシャンが集まり結成したバンドらしいのだが、バンドのメンバーがやたら豪華だ。

加山雄三(Vo,G)、キヨサク(Vo、MONGOL800)、佐藤タイジ(G/Cho、シアターブルック)、名越由貴夫(G、Co/SS/gZ)、ウエノコウジ(B、the HIATUS)、武藤昭平(Dr、勝手にしやがれ)、高野勲(Key)、山本健太(Key)、タブゾンビ(Tp、 SOIL&"PIMP"SESSIONS)

なんといっても加山雄三である。あとから知ったのだけど77歳だと。全く年齢を感じさせないカッコいいギターを弾いていた。ネオロカビリーばりのフレーズを弾いていて一気に心を掴まれた。

そして「君といつまでも」がはじまり客は待ってましたと歓声があがり俺は両腕を上げた。

若大将「幸せだなあ。」

客「フォオオオオーー!!」

ものすごく盛り上がった。やっぱ客はみんな「幸せだなあ」を待っていた。その一言だけでこんなに湧かせる凄さ。キラーフレーズすぎる。

そのあと間髪をいれず「海 その愛」

「海〜よ〜俺の海よ〜」に合わせて客は大合唱。

まさかフジロック加山雄三でこんなに盛り上がるとは思ってなかった。貴重なものを見させてもらった。

 

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エビの風味のラーメンを食べる。

 

19:00〜

STAGE:FIELD OF HEAVEN

THE SKATALITES

1963年に結成したスカのルーツだそうだ。

ボブ・マーリーと同じ時代にスカという音楽を作った先駆者のひとつでもあるのがこのスカタライツらしい。

3年前はスペシャルズも見れたし、2年前はリー・ペリーも朝霧で見れた。去年はトロージャンズも見れた。そして今年はスカタライツと、こんな短期間に駆け足でスカとレゲエのルーツに触れてしまった俺はなんてラッキーなんだ。

このバンドの音には歴史の重みがある。他とは何かが違うなんて深い音なんだと思った。

前半はスカで、途中レゲエになったり、美空ひばりの「リンゴ追分」の曲のカバーもやっていた。遠い異国のレジェンドが日本の名曲をカバーしてくれるなんて、なんか誇らしく嬉しかった。

 

しかし、このあたりで、肉体的に限界をむかえる。

不眠の代償がここにきてピークがきた。ここまで丸一日まともに寝てない。この先あと朝まであと9時間もある。雨はずっと降っている。夜になりどんどん気温も下がってきた。もう色々限界だった。

残念だけどここで帰ろう。これ以上無理をするのは体調的に危険だと感じた。もう十分満足した。そもそもdownyを見るために深夜バスを選択した。行きを深夜バスにするならせめてテントは用意しないと朝まではもたないと学んだ。寝ないでオールナイトはそもそも無謀だったという教訓と思おう。23:30〜のThe Poguesが見れないことは心残りだけど仕方ない。The Poguesは今年で解散してしまうからもう一生見れないかもしれないけど…。

 

越後湯沢駅に電話をすると、新幹線はまだ若干空席があるという。

「もう帰ろう…。」

 

シャトルバス乗り場に向かった。

そして僕は愕然とした。

ものすごい長い長い長蛇の列があった。いったい何分並ぶんだろう。

もしもこのまま駅まで行ったとして、新幹線に乗れる保証もない。この列の長さから、宿に帰る人もいれば、場外の駐車場に帰る人もいるが、新幹線に乗ろうとしてる人だってたくさんいる筈だ。

The Poguesを諦めてまで駅に行ったにもかかわらず新幹線にも乗れなかったなんてことになったら、The Poguesが見れないうえに帰れないなんてことにもなりかねない。そんなバカなことがあってたまるか。

 

やっぱり帰るのはやめて会場に戻った。

もう腹を決めた。朝までここに居る。俺はThe Poguesを見るぞ。

 

グリーンステージに戻るとこの日のヘッドライナー、JACK JOHNSONがはじまるところだった。

 

21:30〜

STAGE:GREEN STAGE

JACK JOHNSON

ジャック・ジョンソンは完璧だった。演奏も上手い、そしてなんていい声なんだ。ギターのアルペジオの音色がキレイだった。

僕は最初は後方の傾斜の芝生にレジャーシートを敷いて寝そべりながら、その自分の鑑賞の仕方の贅沢さに酔った。大地を背中に感じながら聴くジャックジョンソンやべえ、と。

そんな風に楽しんでいられたのも最初の数曲で、そのあと雨が強くなってきて、まず体勢を体育座りに変更、フードを深くかぶり、ガタガタと震えながら見ていた。

ジャック・ジョンソンこんなにいいライヴだしカッコいいのに勿体ない。晴れた日の夕方くらいに見たかったよ。寒さに震えながら膝をかかえて聴く音楽じゃないよ。

途中で昼間グリーンステージに出演していたジョン・バトラーがゲストで出てきた。ジャック・ジョンソンのギターとジョン・バトラーのギターの音色が絡み合うセッションも頭をかかえるほどヤバかったんだけど、本当に寒さに耐えるのに必死でそのありがたみもなにもそれどころじゃなくて色々余裕がなかった。

こういう音楽って、心に余裕があるときに聴く音楽なんだなって体で実感した。

 

23:30〜

STAGE:GREEN STAGE

The Pogues

色々と思いを馳せようやく辿り着いたThe Pogues。80年代、クラッシュと共にイギリスのパンクブームを歩んできたバンドである。もう今年のライヴを最後に解散すると発表していると。日本ではフジロックが最後で、次のフランスのフェス以降のライヴの予定は無いらしい。

The Poguesが始まった途端、それまで降っていた雨も上がった。ボーカルのシェーンはだいぶ年を取って渋くなっていた。マフィアみたいな風貌で立ってるだけでカッコ良かった。酒でベロンベロンに酔ってて全然歌えてないけど、声を出すだけで味のある声だった。歌いながらずっと酒とタバコを離さなかった。

なんだか自然と涙が出てきた。やっぱりこのバンドの最後を見届けないで帰るなんてありえない。頑張って朝まで残ると決めて良かった。一生後悔するところだった。

ライヴが終わってもアンコールが鳴り止まなかった。もう最後だという名残惜しさと、Fiestaという曲をまだやってない。その曲は最後の締めとして演奏するのが定番らしい。

アンコールが鳴り止まないのに、フジロックの総合司会のブライアンと主催の日高さんが出てきて、もう終わりだよ感を出し、ブライアンが流暢な発音で

「The Pogues!!最高のステージでした!!もう一度The Poguesに大きな拍手を!!」

みたいなこと言ってんだけど、大きな拍手もなにもアンコールしてるっつうの。

アンコールはぜんぜん止まないんだけど、それでもブライアンはめげずに、

「OK!!!The Pogues!!最高のステージでした!!!もう一度The Poguesに大きな拍手を!!」

って無理矢理締めようとするんだけど、全然アンコールが止まらない。

ブライアン困った感じになって。主催の日高さんが、

「みんなゴメン!もう終わり!」と言って、会場が「え〜〜〜〜〜」っていうガッカリな空気のまま、恒例の最後のパワー・トゥー・ザ・ピープルが流れて強制終了となった。

 

日高さんにゴメンって言われたらしょうがない。終わるしかない。

 

The Poguesが終わったのは深夜1時くらい。

シャトルバスの始発まであと4時間。

そのあと、入り口ゲートの手前の朝もお世話になった売店の店の前のアスファルトの上で、4時間座って始発を待った。屋根があるしひとまず雨はしのげる。まさか夜もここで過ごすことになるとは。店内は僕と同じ境遇の難民で溢れている。外で座っている僕の周りにも難民達が一定の距離を保って座りながら朝を待っていた。

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朝方になるにつれて寒さがこたえた。ひたすら4時間寒さに震えながら座っていた。RED MARQUEEやCRYSTAL PALACEに行けば朝までライヴもやってるし、そっちのほうが温かかったかもしれない。しかしもう一歩も動けなかった。売店で買ったカップヌードルが死ぬほど美味かった。

 

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5時頃、シャトルバスの列に並び、越後湯沢から朝一の新幹線で東京に戻った。

月曜は有給休暇を取っていたので、丸一日死んだように寝た。

 

こうして僕のフジロックは終わった。

朝まで無事に過ごせて良かった。

この一日は一生忘れられない最高の思い出になった。

また来年も行きたいと思う。

 

最後に、もしもフジロックにまだ行ったことがない人で、このブログを読んで「フジロックってそんな大変なところなの…」と思った人がいたとしたら。それは大きな誤解です。今回のプランが無謀だっただけで、ちゃんと宿を確保することをおすすめします。