シンセサイザーの生みの親、ロバート・モーグ博士のドキュメンタリー映画。
モーグ博士はMOOG(モーグ)という電子楽器を発明した人なんだけど、MOOGとはどんな楽器だったのか。
MOOGは1964年に誕生した。この楽器の登場でテクノミュージックが生まれたと言っても過言ではない。ビートルズ、マイケルジャクソン、スティービー・ワンダーなど多くのミュージシャンに愛された電子楽器のルーツである。
この楽器が無かったら音楽の歴史もずいぶん変わっていたのかもしれない。日本でもYMOがMOOGを使いあのライディーンという曲を作ったとも言われているらしい。
映画の本編にはMOOGを愛するミュージシャンも多数出演し、MOOGの魅力を語り演奏していた。その顔ぶれがそうそうたるメンツだった。
キース・エマーソン(当時まだ開発されて間も無いMOOGを世界に知らしめたミュージシャン)
ガーション・キングスレー(電子音楽の先駆者の一人。1969年の楽曲「ポップコーン」の作者)
ジャン・ジャック・ペリー(ディズニーのエレクトリカルパレードの曲を作った人)
リック・ウェイクマン(ロックバンド、イエスのキーボード奏者)
バーニー・ウォレル(Pファンク、主要メンバーの一人)
このMOOGという楽器、とても高価だし、扱いが非常に難しい。素人が安易に手をだす代物ではないイメージだ。
僕も楽器屋で少しだけ触ったことがあるのだけど、下のキーボードで音程、上の無数のツマミで周波数を操作できる。しかし、ツマミを数ミリちょっと右に動かすだけで「ウォォォォォン」と音がウネる。とんでもなく繊細。「空気の振動を操作する」という感覚。テルミンに近い感覚。一期一会の音が出るので可能性が無限大な楽器だと思う。
70年代のSF映画の効果音にも多く使われ、UFOの音とか宇宙のイメージはすべてこの楽器が定着させたと言ってもいい。世の中に大きな影響を与えた偉大な楽器だと思う。